健康維持に必要な油とは?

私たち人間が健康であるために必要な油(脂肪酸)があるのをご存知ですか?肥満やメタボだと脂っこい物を避けるようになりますが、必要な油まで摂取しなくなると体調が悪くなります。ここでは体に良い油と悪い油の事を知り、食生活で良い油を摂取する方法について紹介します。

  1. 健康維持には4つの脂質が活躍している

    ・遊離脂肪酸   ⇒ 活動に必要なすぐに使えるエネルギー
    ・中性脂肪    ⇒ 脂肪細胞の中に蓄えられるエネルギー
    ・コレステロール ⇒ 細胞膜を作る材料/ホルモンを作る材料
    ・リン脂質    ⇒ コレステロールや中性脂肪を溶かして運搬する

  2. 脂肪酸は2種類に分類される

    脂質を構成している主な成分を脂肪酸といい構造の違いから大きく飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分けらます。普段食べている油はどちらに分類されるのでしょうか?

    飽和脂肪酸の特徴  ⇒ 体温で溶けにくく固まりやすい。
    不飽和脂肪酸の特徴 ⇒ 体温で溶けるので固まりにくい。

  3. 飽和脂肪酸は摂り過ぎに注意が必要な油

    飽和脂肪酸は、肉類の多く含まれている油です。過剰摂取するとコレステロールや脂肪を溜め込み肥満など生活習慣病の原因となるので摂り過ぎないように注意が必要です。健康であれば問題ありませんが生活習慣病の方は避けたい油です。あえて食べなくても必要な分は体内で合成できるので食べる必要もありません。

    【飽和脂肪酸が多い食べ物】バター・チーズ・マーガリン・サラダ油・牛の脂・豚の脂(ラード)・鶏肉の皮など

  4. 体に良い油とされているのは不飽和脂肪酸

    不飽和脂肪酸は、魚や植物に含まれている油で分かりやすい特徴は常温でも溶けるので液体のようになっています。不飽和脂肪酸は、一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸に分類されます。

    • 【一価不飽和脂肪酸】・・・代表の脂肪酸はオレイン酸です。オリーブオイルや紅花油などに含まれています。悪玉コレステロール(LDLコレステロール)を少なくする働きがあります。
    • 【多価不飽和脂肪酸】・・・体内では合成する事ができないので食品から摂る必要がある必須脂肪酸です。植物油や青魚の脂に多く含まれています。今注目のEPAやDHAなども多価不飽和脂肪酸になりますが、多価不飽和脂肪酸は、さらに、オメガ6系脂肪酸とオメガ3系脂肪酸に分けられ少しずつ働きが違います。その違いを見ていきましょう。
  5. <必須脂肪酸> オメガ6系脂肪酸(オメガ6)

    オメガ6系脂肪酸は、リノール酸、γ-リノレン酸、アラキドン酸などがありますが、γ-リノレン酸、アラキドン酸はリノール酸から合成された代謝産物です。食べ物から摂取するオメガ6系脂肪酸の98%はリノール酸とされています。

    • 【リノール酸】・・・ひまわり油、コーン油、ごま油、大豆油、紅花油(サフラワー油)、クルミ油、アーモンド油などに多く含まれています。また、体内でγ-リノレン酸、アラキドン酸へと変化します。
    • 【γ-リノレン酸】・・・母乳や植物の月見草などにふくまれています。
    • 【アラキドン酸】・・・豚や牛のレバー、いくらやたらこ、卵などに多く含まれEPAやDHAを合成したり免疫力を高めたりする働きがあります。

    オメガ6系脂肪酸の代表であるリノール酸は、LDL(悪玉)コレステロールを減らす働きに注目が集まりましたが、近年、リノール酸ばかり摂り過ぎると、良い働きをしている善玉コレステロールも同時に減らしたり、アレルギー症状が強くなるなど免疫細胞が働きにくくなるなどの報告があります。その為、リノール酸ばかりの摂取はすすめられていません。同じ多価不飽和脂肪酸であっても、オメガ6系より、オメガ3系脂肪酸の方を多く摂取することが求めれています。

  6. <必須脂肪酸> オメガ3系脂肪酸(オメガ3)

    代表的な脂肪酸は、α-リノレン酸、EPA(エイコサペンタエン酸)、DHA (ドコサヘキサエン酸)などになります。カラダには必要な脂肪酸なのにヒトの体内ではほとんど合成することができません。食事なので適度に摂る必要がある必須脂肪酸です。

    • 【α-リノレン酸】・・・しそ油、亜麻仁油、えごま油に多く含まれています。体内でDHAやEPAに変化します。
    • 【EPA(エイコサペンタエン酸)・DHA (ドコサヘキサエン酸)】・・・さんま、あじ、さば、いわし、まぐろなどの青魚に多く含まれています。

    これらのオメガ3(n-3系脂肪酸)の働きは、血液中の善玉コレステロールを増やし血栓を予防し動脈硬化を防ぎ心血管疾患リスクの低減や中性脂肪を減らす働きをすると言われています。

    また、DHAは脳や網膜など神経細胞を構成する成分でもあります。脳の健康を維持する為には摂取は欠かせません。

  7. 1日に必要な必須脂肪酸オメガ3の量はどのくらい?

    厚生労働省は、オメガ3脂肪酸は1日に1.6~2.4g摂取するよう推奨していますが、現状は500mgも摂取できていないとみられています。毎日の食事でその量を摂取する事が出来ない時は、現在、EPAやDHAを使ったサプリメントが多く販売されているのでをそれを上手に利用して摂取すると良いですね。

    また、オメガ3脂肪酸は、光や空気にさらされると酸化しやすい性質がありますので、酸化を防ぐ抗酸化成分と一緒に摂取するのがおすすめです。サプリメントを選択するときも、抗酸化成分が入って物を選びましょう。抗酸化成分とは、ビタミンE、ビタミンC、セサミン、アスタキサンチン、βカロテンなどがあります。

    さらに、熱にも弱いので、加熱をしてしまうと減少してしまいます。調理の際には加熱しないようにサラダのドレッシングに入れたり、納豆、お浸し、和え物、みそ汁などに少量かけて摂取するのがおすすめの食べかたです。